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僕は、勇者の旅立ちを見送る村人A
written by チョンマー
  • 別れ話
  • 切ない
  • ファンタジー
  • 勇者
  • 村人
公開日2024年08月08日 22:52 更新日2024年08月08日 22:52
文字数
1245文字(約 4分9秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
女勇者
視聴者役柄
村人
場所
あらすじ
明日、僕の幼馴染がこの村をたつ。
彼女は勇者として認められて、17歳の誕生日と同時に魔王討伐の旅に出ることが決まっていたからだ。

どうにも眠れない僕は、夜遅く、彼女の家に向かうと……。
本編
剣の手入れよし。旅の道具は……全部袋に入ってるな。

いよいよ明日。私の、17歳の誕生日。私は、この村を出て、魔王討伐の旅に出る……。
住み慣れたこの村とも、お別れか……。

やあ、君か。

うん、どうにも眠れなくてね。倉庫においてある荷物の確認をしてたよ。もう何度も確認したのにね。
せっかくだから、こんな埃っぽい倉庫の中じゃなくて、少し外に出て話さないか? 


ふう、夜風が気持ちいいな。

君とはよく、この場所で話をしてたっけな。蝶が飛び回る春の日も、緑の生い茂る夏も。月夜がきれいな秋の日も。雪に覆われた冬の日も。

朝も、昼も、夜も。時間があれば、いつもここで話をしてた。

過去形はやめてって? ああ、ごめんね。無意識だった。
けれど、君も分かってるだろ? 私は、明日、この村を出ていく。勇者として、旅に出るんだ。

君とは、こうして話はできなくなる。

やっぱり、寂しいな。君と会えなくなるのは。
仕方ないさ。これは、勇者として生まれついた私の、宿命のようなものだから。

ありがとう。私の代わりに、いつも君の方が悔しがってくれたね。
どうして、私が勇者なんだって。他の誰かじゃダメなのかって。

少し前には、自分が代わりに、なんて言って剣術の訓練や、魔法の練習もしてたよね。どっちもからっきしで、私には到底及ばなかったけれど、それでも、君は諦めようとしなかった。

今日も、私を止める気なんだろ? 私の旅立ちを。何とかして説得しようとしてる。

気持ちは、すごく嬉しいよ。

けれど……ごめん。私、もう決めてるんだ。
私は、この村を出る。魔王を打ち倒すまでは、この村には戻らない。

分かってくれ。これは、皆のためなんだ。
魔王の悪行に苦しむ人が、この世界に山ほどいる。魔族の侵略を受けて、滅ぼされた村や、町の話も一つや二つじゃない。
いつか、この村も被害にあうかもしれない。そんなことになる前に、何とかしたいんだ。
私が勇者で、私だけが、何とかできるかもしれないから。

それなら、せめて、自分を連れて行ってほしい……。

ごめん、それも、駄目だ。

はっきりいうよ。君の剣術なんかで、魔族とは到底戦えないし、魔法も使えないんじゃ、足手まといだ。君を、危険な旅に連れて行くわけにはいかない。命を落とすかもしれないんだ。もちろん、私自身も。

命を落とすのが怖くないのかって? もちろん怖いさ。けれど、その覚悟なら、とうにできてる。

いや、ちょっと違うな。私は、私の身近な人たちの命が奪われる覚悟は、できてない。それが、一番怖いんだ。

もちろん、君もそのうちの一人なんだよ。
だから、君はここにいてくれ。少なくとも、この場所はまだ安全だから。

それなら、せめて、渡したいものがある?

これは……君がいつも身に着けてるペンダント? 君の宝物だって昔話してくれたじゃないか。いいの?

お守り代わり、か。うん。ありがとう。大切にする。

必ず、魔王を倒して、このペンダントを持って帰るよ。君の宝物だからね。ちゃんと返しに戻ってくるって、約束する。

もうそろそろ、寝ないと明日に響くな。

おやすみなさい。じゃあ、またね。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
僕は、勇者の旅立ちを見送る村人A
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
チョンマー
ライター情報
pixivでフリー台本を書いています。
甘々な話も、ちょっとエモいお話も、どっちも好きで書いています。
元々小説畑の人間なので、どこか物語染みてるところがあるかも……。
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