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夜の砂漠は、冷えるから
written by 暇崎ルア
  • 耳かき
  • 癒し
  • 寝かしつけ
  • お嬢様
  • 清楚
公開日2026年07月26日 21:43 更新日2026年07月26日 21:43
文字数
2577文字(約 8分36秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
砂漠の商人の娘である令嬢
視聴者役柄
令嬢の従者
場所
砂漠の隊商(キャラバン)向けの宿泊施設
あらすじ
ここは砂漠の国。どこまでも続く砂漠の道を行く、大商人の隊商(キャラバン)。その途中で隊商は、一夜の宿に泊まっていた。
暑い日中とは裏腹に、砂漠の夜は冷える。
商人の一人娘であるお嬢様は、寒いのが苦手な従者を気遣い、あることをしようとしていた……。
本編
()内 ト書き
//SE SEの指示

時と場所 夜/砂漠の途中の宿泊施設

(夜の砂漠の宿泊施設、外では風が吹いている)
//SE 風が吹く音
(主人公の部屋の中に、お嬢様が入ってくる)
//SE 近づいてくる足音
……ごめんなさい、お待たせしたわね
マッサージの道具を一そろい持ってきたわ。今からやってあげるわね
いいのよ、私のことは気にしないで。あなただって疲れたでしょう?
それに休まないとだめ。あなた、とっても顔色が悪いわ。きっと冷えたのよ
それにあなたにはいつもお世話になっているもの。たまには私から労わせてちょうだい
それじゃ、お耳のマッサージから始めるわね
(両耳、オイルマッサージ開始)

どう? 少しは温かくなってきたでしょ?
砂漠の夜はいつも冷えるけれど、今日は一段と冷えるわよね
ふふふっ、良い匂いがするでしょ? 今、あなたのお耳に使っている香油よ
これね、西の国から取り寄せた貴重な香油なのよ
……えっ、これをどこから持ってきたか?
(言いづらそうに)ええっと、お母様が持っていたものをこっそりお借りしてきたの……
だから、そうね……このことはお母様には言わないで? あなたと私だけの秘密よ?
……ありがとう。でも、いいわよね。ちょっとぐらいならお母様も許してくれるわ、きっと
(両耳、オイルマッサージ継続)

マッサージはここまでにするわ。香油を拭いてしまうわね
(両耳、タオルでオイルを拭きとる)

……はい、お耳は綺麗になったわ
だけど、まだよ。今度はお耳の中をマッサージしていくわ
細い棒を入れるから、そのまま動かないでちょうだいね
……ふふふっ、大丈夫よ。棒を耳の中に入れると言っても痛くないわ
というより、痛くしないように私が気をつけなくっちゃね
(左耳、竹耳かき開始)

どう? 痛くないかしら?
……そう、大丈夫ならよかったわ
今やっているのはね、東方の国で行われている耳かきというものよ
私たちの国じゃあまりやらないことだけど、ちょうどいいかもしれないわね
砂漠の中を歩くことばかりだから、すぐにお耳が汚れてしまうものね
(左耳、竹耳かき継続)

——そうね。今回のキャラバンの旅も長いわね
体調の方は大丈夫? 具合の悪いところはない?
だって心配になるわよ。あなたって、具合が悪くても無理するんだから
この間だって、仕事の無理が祟って倒れたでしょ?
私、気が気じゃなかったのよ? あなたに何かあったらどうしましょう、って
……わかったわ。どこも何ともないならいいの
だけど、何かあったらすぐに私に教えてちょうだい
あなたは私にとって大切な人なんですからね
(左耳、竹耳かき継続)

はい、お耳かきは終わったわ
今度は、耳かき棒についているこのふわふわした部分を使って仕上げをしていくわね
(左、梵天開始)

……少しずつ身体が温まってきたかしら? そう、良かったわ
あなたは昔から寒さに弱いものね
覚えているでしょ? 子供の頃、大きな市場に遊びに行った時のことよ
少し遠くまで二人で行ったら、迷子になってしまって
日が暮れても、お家に帰れなくなったことがあったわね
あの時はあっという間に暗くて、寒くなって
隣にいたあなたが寒そうに震え出したのよね
それでもあなたは「自分がお嬢様を守ります」って言って
血の気のない顔で、お家に帰るまでの道を見つけてくれたのよね
それから、帰ったらお父様とお母様にこっぴどく叱られたわね。ふふふっ……
あれからもう何年も経つのね。時が過ぎるのはあっという間だわ
(左、梵天継続)

左のお耳はここまで、今度は右のお耳にしましょうね
(右耳、竹耳かき開始)

……ねえ、今しか言えないことを言ってもいい?
いつもいつも、ありがとう。私の従者さん
あなたには心から感謝しているのよ
私のことを守ってくれるし、何よりいつでもお話の相手もしてくれるわ
そんな人、私の周りにはなかなかいないもの
ほら、私って友達が少ないでしょ?
(自身なさそうに)「とっつきづらい」って言うのかしら? 私って、他の人から見るとそんな風に見えるんですって
きっと人とお話をすることが苦手なせいね……あなたとだったら、気兼ねなくお話できるのだけど
それに、私の見た目のせいもあるかもしれないわね
私の目って、他の人より少し吊り上がってるもの。そのせいで怖く見えるんだわ
……ふふっ、あなたはとても優しいわね。そんなことを言ってくれるだなんて
そうね。人って生まれ持った見た目ばかりではないものね
私にお友達が少ないのは、内気なせいね
私、もっといろいろな人の前で笑顔を見せられるようにするわ
ありがとう。今日もまたあなたに助けてもらったわね
これからも頼りにしているわ。よろしくね
(右耳、竹耳かき継続)

明日こそは長い砂漠を抜けて、次の街に行けるわね
お父様は、今まで行ったことがない街に今回進出すると言っていたわよね
とっても楽しみね。一体、どんなものがあるのかワクワクするわ
ええ、いつも楽しみにしているのよ。キャラバンで色々な街に行けるのが
お父様たちにとっては商売のためかもしれないけど
私にとっては新しい世界を見つける旅でもあるの
だって、いつもお家にいるばかりではつまらないものね
人間って、時々知らない街や国に行くことが必要で
それこそが生きる醍醐味ってものなんじゃないかしら? 私はそう思うわ
だってこの世界は砂漠ばかりじゃなくて、色々な景色があるはずだもの
(右耳、竹耳かき継続)

お耳かきはここまで。こっちも仕上げにするわね
(右耳、梵天開始)

え? 今日の耳かきとかに対してお礼がしたいですって?
そんな、いいのに。私が勝手にやりたいって言ったことだもの
……あらあら、どうしてもお礼がしたいの? あなたって義理堅いのね
——なら、私が眠る前にお話をしてちょうだい
一人の青年と魔人のランプのお話、それから魔法の扉と40人の盗賊のお話だとか
昔、寝る前に何度も聞かせてくれたでしょう?
ええ、そんなことだけでいいのよ。それだけで充分
私、あのお話が大好きなの。何度聞いても飽きないぐらい
それにね、あのお話を語るときのあなたの声が好きなのよ
——ええ、お願いね。素敵なお話を聞かせてちょうだい
(右耳、梵天継続)

はい、お手入れはもうおしまい
(耳かきなど終了)
あなたも元気そうなお顔になったわね。さっきまで真っ白い顔で震えていたのに
ふふふっ、良かったわ。あなたが元気になってくれて
それじゃあ、今度はあなたの番よ
今日も心躍るお話を私に聞かせてちょうだいね……
(風の音と共にフェードアウト)

クレジット
・台本(ゆるボイ!)
夜の砂漠は、冷えるから
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
暇崎ルア
ライター情報
小説執筆の傍ら、「安心して眠りたい」と言う欲望から主に睡眠導入シチュエーションボイスのフリー台本を書いている台本師です。
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