朝、いつものように教室へ行くと、珍しく先客が。
誰にでも距離の近いあの子だ。
共通の好きな物の話をしただけだったが、少し嬉しかった。
ある日の帰り、先輩につきまとわれている所を助けると、少しずつ進展が始まり……

おはよ〜オタク君、早いね〜いつもこんな時間なの？

へ〜アタシじゃ考えられないよ〜

いや〜偶然だよ。なんか早く起きちゃってさ〜

普段は……遅刻しまくりだけどさ〜

勉強するの？え〜っ、偉すぎ

アタシなんて全然してない！

あっ、うるさかったかな？静かにしとく？

じゃ、見てよ〜っと……

ふむふむ……う〜わっ……わからん

ん？何、近い？

へぇ……じゃもっと寄ってやろー

ふふっ……どーよ、この距離、もうちょいでキス、できちゃうね……

なんてね、期待した？

てかさー名前で呼んでよー

いや〜オタク君はオタク君でしょ？

ん……それは良くないか。

じゃ、アタシも名前で呼ぶ。だから名前で呼んで？

ふふふ……顔真っ赤。名前で呼ばれたの初めて？

次、君の番だよ

どした、ふふっ……ちょっとこそばゆいね

いーよ、やめとこっか。アタシもオタク君の方が呼びやすい！

そんなオタクじゃない？え〜でもいつも読んでる本はそういう系でしょ？

アタシ知ってるよ。弟がそれ読んでたの見たことあるもん

アタシも気になって借りた事あるし〜うん、それそんな面白いの？

って、えっとね……ちょっと貸して

アタシはこの子が好きだよ。思いやりがあるよね

それに……好きな子に真剣になってるとこ。

オタク君もこの子好きなの？お揃いじゃん

いいね。

え？なんでって……お揃いなのよくない？どーたんきょひ？

なにそれ……？よくわかんないけど、アタシはお揃いなの好きだけどな〜

あっ……そろそろ皆来る時間だね。

あんま、噂とかされたくない……よね

いいよ、気にしないで。なんもないってことにするからさ

でも……お話するの、楽しかったよ。

(少し間を空けて)

やめて、ください……先輩……

その、よく知らないですし……アタシそういう事しないですから……

好きって言われても……困るんですけど……

あの……もういいですか？アタシ帰らなきゃ……

ちょ、いやっ！やめて！

誰かっ！

あっ……助かった……の？

うひゃあっ！な、なんだオタク君かぁ……

あーびっくりした〜！

そっか……勉強してたのか〜帰るとこだったの？

それで……あぁ……声が聞こえた？

そっか……良かった。

ありがと。

なんか……目をつけられててさ……

好き……らしいんだけど……よくわかんないし……

そうだ、なんかお礼しなきゃね

お礼に彼女になったげよーか？

なんて……ね。流石に嫌だよね

いやいや、いいって謝んなし

あんな奴が寄り付いてこないかな〜なんて思ったけど……

お礼みたいなのって、嫌だよね〜って

あ……アタシ……タイプじゃない的な？

でも……お礼、させてよ。あそうだ、明日デートしよ！

ほら……この子のグッズが出るんでしょ？

アタシも知ってるよ〜

だからさ、一緒に行こ？

うん、約束ね

(少し間を空けて)

よっ、オタク君！待ったかな？

ふ〜ん……いいね。デート、初めて？

どーよ、アタシ。

ふふっ……オタク君からの可愛いいただきました〜！

それじゃ、行こっか。

こういう店、あんま行かないんだよね〜

ほら、あったよ。あ、これランダムなんだ……

ね、オタク君さ……なんかアタシ……見られてない？

気のせい……かな

アタシみたいなのが来るのって変だったりする？

そ、そんな事ない？そ、そっか……ありがと

でも……あんま大きな声で言わないほうが良かったかも……

目立つ……から

ほら、は、早く行こ。

ふふっ……楽しかったね。

さ〜て……このランダムとやらから……出さなきゃいかんのか……

はは……まぁ……そんな都合よくね……

え、いいの？いやいや……交換？

でも……いいよそんな、君だって好きなのに……

ううん、そうだね。ありがと。

ね、また今度一緒に行こ！お礼の続きとかじゃなくて

アタシは普通に君とお出かけしたいけど？

にひ……決まり

(少し間を空けて)

やっほ〜待ったかな？

今日は……アタシの頼みってことで！

ゲーセンだよゲーセン、よく行く？

ほら、こういうとこ来たら……プリっしょ

ほら入った入った！

もっと寄って！ほら！イェーイ！

じゃ、今度は盛るよ！どう、ハートとかつけちゃお

後は……こんな感じで……できた。

はい、どうぞ。どーよ、いい感じでしょ？

まぁね〜いつも友達とやってるからね〜慣れてるよ

あ、でも……男の子とは……今日が初めてだよ



今日も楽しかったね〜

ん？なになに、どした。なんか忘れ物でもした？

え、好き！？

い、いやいや、い、いきなりだねオタク君！？

ちょっとびっくりだよ！

マジのやつ……でいいんだよね？

んじゃ……アタシも……ちゃんと答えなきゃ

アタシも……好き……です

ん〜なんだろ、あの日……ほら、朝二人きりだったとき

なんか……ちゃんと話聞いてくれるなーとか思って

それに……先輩に絡まれてたとき、助けてくれたじゃん。

その……逃げることだってできたわけだよね

声が聞こえてきても……わかんないじゃん。何があるかなんて

それなのにさ……来てくれて……

デートした時もアタシみたいなのは似合わないなんて言われたとき……

そんな事ないって……嬉しかったよ

あっ……ふふ……初めて、名前で呼んでくれたね

じゃ、アタシもオタク君って呼ぶのやめよ

ふふ、どう？まだ慣れないかな？顔真っ赤だよ

アタシは好きだよ。君の名前。

んじゃ、これからはカップルって事で！

これからは……イチャイチャしまくるからね〜

ふふっ……アタシの事、好きになってくれてありがと！

・台本（ゆるボイ！）
誰にでも距離の近いあの子は僕にも優しくて
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
joker