- 告白
- 切ない
- 片思い
- 純愛
- 幼なじみ
- 年下
- 少女
公開日2024年08月17日 06:51
更新日2024年08月17日 07:03
文字数
3374文字(約 11分15秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
年下の幼馴染
視聴者役柄
指定なし
場所
田舎のバス停から実家までの帰り道
あらすじ
大学進学を機に一人暮らしを始め、久しぶりに帰省した年末のある日。
ずっと一緒に過ごしてきた妹のような存在の幼馴染と、年越し用の買い物を済ませた帰り道。
「話したいことがあるんだ」
少し恥ずかしそうに彼女はそう言いました。
ずっと一緒に過ごしてきた妹のような存在の幼馴染と、年越し用の買い物を済ませた帰り道。
「話したいことがあるんだ」
少し恥ずかしそうに彼女はそう言いました。
本編
(バスが走り去る音)
(革靴の足音)
ごめんねにーさん、年越し用の買い出しなんかに付き合ってもらっちゃって。荷物、半分持つよ。......そう? ありがと。なら、お言葉に甘えて任せちゃうね。
本当なら母さんに車出してもらうはずだったのに、父さんを病院に連れてかないといけなくなっちゃったから......ああ全然、そんな心配することじゃないよ?
病院っていっても整形外科だから。大掃除だって張り切って物置の整理してたら腰が悲鳴を上げたってだけだから。
(路面を歩く革靴の音)
久しぶりだね、こうやって一緒に帰るの。
中学生の頃までは毎日のようににーさんと一緒に帰って、本物の兄妹みたいってさんざん言われてたのが懐かしくなっちゃった。
今じゃすっかり1人で帰るのにも慣れたんだよ、それが普通だって分かってるんだけど、それでも最初の頃は、にーさんが居ないっていうのがどうしても寂しくて......。
だって、ずっとそうだったんだよ?
小学校どころか、幼稚園に入ったばっかりのときから、ずーっと。朝出かける時と夕方帰る時はにーさんが隣にいる。それが私にとっては当たり前だったんだから。
......だからびっくりしたなぁ。
大学進学を機に一人暮らしを始めるんだ、ってにーさんから聞いたときは。
......あはは!
そうだねぇ、私も聞いただけで泣いちゃうとは思ってなかったもん、そういう意味でもびっくりだったね。
......でも後から思い返したらそう驚くことでもなかったかな。
実際ににーさんが引っ越して、隣の家からいなくなったときね、なんか、急に家の中が広くなったなぁって感じたの。
不思議だよね、人が減ったのは隣の家で、私の家じゃないのに。自分の部屋も、居間も、お風呂も、どこもなーんにも変わってないのに。
......怖かったなぁ。
自分が誰も居ない体育館に閉じ込められたような気がして。寂しいって声を出したら、誰にも届かないまま壁に跳ね返されたその言葉に喉を刺されるような気がして。
......えへへ、そうなんだ、おばさんから聞いてたんだ......。
うん、そうだよ。
私が無口になってたっていうのが、ちょうどその頃。父さんにも母さんにも、おじさんにもおばさんにも心配かけちゃった。
え?
......うーん、1ヶ月くらい、かな?
だんだん、1人の帰り道にも慣れてきて、そうしたら自然とお喋りも帰ってきたの。
今はもう平気だよ?
ほら、こうしてにーさんと話してるけど、全然おかしなところないでしょう?
(風で草がたなびく音)
にーさん、ちょっと近道していこうよ。
......そうそう、あの公園を突っ切った方がウチまで近いでしょ?
......あはは、そんなにバレバレだった?
......あー、襟をいじる癖かぁ......前にもにーさんに言われたのに、いまだに治らないや。
ま、バレちゃったんなら仕方ないかな。
ちょっと寄り道して行こうよ、にーさん。
あの公園のブランコで。昔みたいに、漕ぎもしないのに2人並んで。夕焼けが月に負けちゃうまで、もう少しだけお喋りしようよ。
うん。
話したいこと、あるんだ。
(草を踏む音)
(ブランコが軋む)
やっぱり、今の私たちには小さいね。
最後にこうやって過ごしたのは......もう5年も前になるのかな。あの頃から、にーさんにはちっちゃかったよね、このブランコ。
今じゃもう、私にも合わないんだなぁ......なんか、ちょっと悲しいね。
ねえ、にーさん。
さっきの話の続き......みたいになっちゃうんだけどさ。
あの頃......にーさんが引っ越した直後くらいに、私考えたんだ。どうしてこんなに、怖いって思うんだろうって。
だっておかしいもん。
寂しい、なら分かるよ? ずっと一緒にいたにーさんが居なくなったんだもの、心細くって当たり前だよ。
でも、私は確かに、怖いって感じたんだ。
......もどかしかったよ。
自分の気持ちのことだっていうのに、なんで、なんでって考えても、ちっとも答えが出ないんだもの。
何に怯えてるんだろう。
何がそこにあるんだろう。
何から......目を逸らしてるんだろう。
悩んで悩んで、もう頭の中に探してない場所なんかないのに、って思った時、ちょうどにーさんから手紙が来たんだ。
......そうそう! そういう書き出しだった!
やっぱりにーさんも覚えてたんだね、あの手紙。
どうして電話やメールじゃなくて封筒と便箋なのか、の言い訳から入るって、なんていうかものすごくにーさんらしいよね。
......ううん、そんなことないよ?
ああいうのは形が大事っていうのは、私もその通りだなぁって思うもの。父さんもそう言ってたし、なんなら感心してたんだよ? 母さんは......うん、ちょっと呆れてたかな。
とにかく、あの手紙を読んで、やっと分かったんだ。
私が怖がってたのはね、にーさん。
多分、『未来』だったんだ。
(ブランコが小さく揺れる)
にーさん、あの手紙にどんなこと書いたか、書き出し以外の部分も覚えてる?
......そっか。
ううん、それで当然だよ、だって普通の近況報告だったんだから。
都会の生活は便利だけど慌ただしいとか、大学の入学式の様子とか、初講義の感想とか、今気になってるサークルとか......ほんとに、にーさんにとってはなんでもないことだよ。それをわざわざ手紙にして伝えるっていうのが大事だってにーさんは思ったんでしょ? 手紙にはそう書いてあったよ。
けどね、私には......違う世界のお話なんじゃないかって気さえしたんだよ。
私の世界にはまだ無いものを、私がまだ知らないことを、にーさんが見てる。にーさんがしてる。私の手が届かない遠くで、私の記憶にはない顔で。
あの手紙を読んでると、そんな感想ばっかり浮かんじゃって......それでやっぱり怖くなって。でも同時に思ったんだ。
私はまだ高校生だけど、そのうち大学生になって、社会人になって......大人になる。今の時代だとそうとは限らないっていうけど、結婚して、子供ができて、いつかその子も大人になって家を出て、やがて会えるかもしれない孫の顔を思い描きながら、歳を取ったなあなんて笑う日が来る。
私がそうなった時、隣には誰がいるんだろう。
にーさんがそうなった時、誰と一緒に笑ってるんだろう。
にーさんじゃなきゃ嫌だ。
どうか私であってほしい。
もし違う人だったら......ある日にーさんが、いつかみたいに封筒と便箋で、良い人ができました、この人と共に歩んでいきますって知らせてきたら。
私はそれが怖かったんだ。
(ブランコから飛び降りる)
よいしょっと......。
うん、やっぱりこういうことは正面から顔を見て言わなきゃね。
ねえ、にーさん。
にーさんにとって、私は何なのかな。
にーさん、って私は呼んでるけど、一滴も血は繋がってないから家族じゃない。
ずっと一緒に過ごしてきたけど、それは家が近かったから。
......妹みたいな幼馴染って、こうしてみると宙ぶらりんだよね。
あの頃はそれでよかったんだよ。
どんな名前の関係だろうと、にーさんが隣にいてくれれば、それだけで私は心地良かったから。
でも、ごめんね。
今はもう、それだけじゃ満足できそうにないや。
だって気づいちゃったんだもの。
私がにーさんのことをどう思ってるのか。いつからそうだったのか思い出せないくらい昔から抱いてるこの気持ちのことを、なんて呼ぶのか。
だからにーさん、今から言う自分勝手なお願いを、どうか笑わずに聞いてください。
私はにーさんのことが大好きです。
私を、あなたの恋人にしてください。
(しばし間が開く)
(静かな風の音と、
草の擦れる音だけが聞こえる)
......あはは!
言っちゃったなぁ、もうすっごい顔が熱い!!
ごめんねにーさん、急にこんなこと言われて戸惑ったでしょう?
本当になんでだろうね、どうしても今言わなくちゃって気がしちゃってさ。きっと空の色のせいだよ、逢魔時ってやつがそうさせたんだ。
さ、帰ろうにーさん。
母さんたちより遅くなっちゃったら心配させちゃうよ。
え?
......あはは、いいよいいよ、そんなに急いで答えなくても。
その場の勢いではいって言わせたなんて思いたくないし、何より私の心の準備がまだできてないもの。
ああ、でもなぁ、いつまでも答えを聞けないんじゃそれはそれで困るし......。
そうだ、初詣の時に聞こうっと。
その時なら、フラれるにしてもきっと覚悟できてるだろうからさ、にーさんもそれくらい時間あれば大丈夫でしょ?
......うん、ありがと。
約束だよ、にーさん。
(草を踏み歩く音)
(夜はもうすぐそこまで近づいている)
(革靴の足音)
ごめんねにーさん、年越し用の買い出しなんかに付き合ってもらっちゃって。荷物、半分持つよ。......そう? ありがと。なら、お言葉に甘えて任せちゃうね。
本当なら母さんに車出してもらうはずだったのに、父さんを病院に連れてかないといけなくなっちゃったから......ああ全然、そんな心配することじゃないよ?
病院っていっても整形外科だから。大掃除だって張り切って物置の整理してたら腰が悲鳴を上げたってだけだから。
(路面を歩く革靴の音)
久しぶりだね、こうやって一緒に帰るの。
中学生の頃までは毎日のようににーさんと一緒に帰って、本物の兄妹みたいってさんざん言われてたのが懐かしくなっちゃった。
今じゃすっかり1人で帰るのにも慣れたんだよ、それが普通だって分かってるんだけど、それでも最初の頃は、にーさんが居ないっていうのがどうしても寂しくて......。
だって、ずっとそうだったんだよ?
小学校どころか、幼稚園に入ったばっかりのときから、ずーっと。朝出かける時と夕方帰る時はにーさんが隣にいる。それが私にとっては当たり前だったんだから。
......だからびっくりしたなぁ。
大学進学を機に一人暮らしを始めるんだ、ってにーさんから聞いたときは。
......あはは!
そうだねぇ、私も聞いただけで泣いちゃうとは思ってなかったもん、そういう意味でもびっくりだったね。
......でも後から思い返したらそう驚くことでもなかったかな。
実際ににーさんが引っ越して、隣の家からいなくなったときね、なんか、急に家の中が広くなったなぁって感じたの。
不思議だよね、人が減ったのは隣の家で、私の家じゃないのに。自分の部屋も、居間も、お風呂も、どこもなーんにも変わってないのに。
......怖かったなぁ。
自分が誰も居ない体育館に閉じ込められたような気がして。寂しいって声を出したら、誰にも届かないまま壁に跳ね返されたその言葉に喉を刺されるような気がして。
......えへへ、そうなんだ、おばさんから聞いてたんだ......。
うん、そうだよ。
私が無口になってたっていうのが、ちょうどその頃。父さんにも母さんにも、おじさんにもおばさんにも心配かけちゃった。
え?
......うーん、1ヶ月くらい、かな?
だんだん、1人の帰り道にも慣れてきて、そうしたら自然とお喋りも帰ってきたの。
今はもう平気だよ?
ほら、こうしてにーさんと話してるけど、全然おかしなところないでしょう?
(風で草がたなびく音)
にーさん、ちょっと近道していこうよ。
......そうそう、あの公園を突っ切った方がウチまで近いでしょ?
......あはは、そんなにバレバレだった?
......あー、襟をいじる癖かぁ......前にもにーさんに言われたのに、いまだに治らないや。
ま、バレちゃったんなら仕方ないかな。
ちょっと寄り道して行こうよ、にーさん。
あの公園のブランコで。昔みたいに、漕ぎもしないのに2人並んで。夕焼けが月に負けちゃうまで、もう少しだけお喋りしようよ。
うん。
話したいこと、あるんだ。
(草を踏む音)
(ブランコが軋む)
やっぱり、今の私たちには小さいね。
最後にこうやって過ごしたのは......もう5年も前になるのかな。あの頃から、にーさんにはちっちゃかったよね、このブランコ。
今じゃもう、私にも合わないんだなぁ......なんか、ちょっと悲しいね。
ねえ、にーさん。
さっきの話の続き......みたいになっちゃうんだけどさ。
あの頃......にーさんが引っ越した直後くらいに、私考えたんだ。どうしてこんなに、怖いって思うんだろうって。
だっておかしいもん。
寂しい、なら分かるよ? ずっと一緒にいたにーさんが居なくなったんだもの、心細くって当たり前だよ。
でも、私は確かに、怖いって感じたんだ。
......もどかしかったよ。
自分の気持ちのことだっていうのに、なんで、なんでって考えても、ちっとも答えが出ないんだもの。
何に怯えてるんだろう。
何がそこにあるんだろう。
何から......目を逸らしてるんだろう。
悩んで悩んで、もう頭の中に探してない場所なんかないのに、って思った時、ちょうどにーさんから手紙が来たんだ。
......そうそう! そういう書き出しだった!
やっぱりにーさんも覚えてたんだね、あの手紙。
どうして電話やメールじゃなくて封筒と便箋なのか、の言い訳から入るって、なんていうかものすごくにーさんらしいよね。
......ううん、そんなことないよ?
ああいうのは形が大事っていうのは、私もその通りだなぁって思うもの。父さんもそう言ってたし、なんなら感心してたんだよ? 母さんは......うん、ちょっと呆れてたかな。
とにかく、あの手紙を読んで、やっと分かったんだ。
私が怖がってたのはね、にーさん。
多分、『未来』だったんだ。
(ブランコが小さく揺れる)
にーさん、あの手紙にどんなこと書いたか、書き出し以外の部分も覚えてる?
......そっか。
ううん、それで当然だよ、だって普通の近況報告だったんだから。
都会の生活は便利だけど慌ただしいとか、大学の入学式の様子とか、初講義の感想とか、今気になってるサークルとか......ほんとに、にーさんにとってはなんでもないことだよ。それをわざわざ手紙にして伝えるっていうのが大事だってにーさんは思ったんでしょ? 手紙にはそう書いてあったよ。
けどね、私には......違う世界のお話なんじゃないかって気さえしたんだよ。
私の世界にはまだ無いものを、私がまだ知らないことを、にーさんが見てる。にーさんがしてる。私の手が届かない遠くで、私の記憶にはない顔で。
あの手紙を読んでると、そんな感想ばっかり浮かんじゃって......それでやっぱり怖くなって。でも同時に思ったんだ。
私はまだ高校生だけど、そのうち大学生になって、社会人になって......大人になる。今の時代だとそうとは限らないっていうけど、結婚して、子供ができて、いつかその子も大人になって家を出て、やがて会えるかもしれない孫の顔を思い描きながら、歳を取ったなあなんて笑う日が来る。
私がそうなった時、隣には誰がいるんだろう。
にーさんがそうなった時、誰と一緒に笑ってるんだろう。
にーさんじゃなきゃ嫌だ。
どうか私であってほしい。
もし違う人だったら......ある日にーさんが、いつかみたいに封筒と便箋で、良い人ができました、この人と共に歩んでいきますって知らせてきたら。
私はそれが怖かったんだ。
(ブランコから飛び降りる)
よいしょっと......。
うん、やっぱりこういうことは正面から顔を見て言わなきゃね。
ねえ、にーさん。
にーさんにとって、私は何なのかな。
にーさん、って私は呼んでるけど、一滴も血は繋がってないから家族じゃない。
ずっと一緒に過ごしてきたけど、それは家が近かったから。
......妹みたいな幼馴染って、こうしてみると宙ぶらりんだよね。
あの頃はそれでよかったんだよ。
どんな名前の関係だろうと、にーさんが隣にいてくれれば、それだけで私は心地良かったから。
でも、ごめんね。
今はもう、それだけじゃ満足できそうにないや。
だって気づいちゃったんだもの。
私がにーさんのことをどう思ってるのか。いつからそうだったのか思い出せないくらい昔から抱いてるこの気持ちのことを、なんて呼ぶのか。
だからにーさん、今から言う自分勝手なお願いを、どうか笑わずに聞いてください。
私はにーさんのことが大好きです。
私を、あなたの恋人にしてください。
(しばし間が開く)
(静かな風の音と、
草の擦れる音だけが聞こえる)
......あはは!
言っちゃったなぁ、もうすっごい顔が熱い!!
ごめんねにーさん、急にこんなこと言われて戸惑ったでしょう?
本当になんでだろうね、どうしても今言わなくちゃって気がしちゃってさ。きっと空の色のせいだよ、逢魔時ってやつがそうさせたんだ。
さ、帰ろうにーさん。
母さんたちより遅くなっちゃったら心配させちゃうよ。
え?
......あはは、いいよいいよ、そんなに急いで答えなくても。
その場の勢いではいって言わせたなんて思いたくないし、何より私の心の準備がまだできてないもの。
ああ、でもなぁ、いつまでも答えを聞けないんじゃそれはそれで困るし......。
そうだ、初詣の時に聞こうっと。
その時なら、フラれるにしてもきっと覚悟できてるだろうからさ、にーさんもそれくらい時間あれば大丈夫でしょ?
......うん、ありがと。
約束だよ、にーさん。
(草を踏み歩く音)
(夜はもうすぐそこまで近づいている)
クレジット
ライター情報
シチュエーション台本やASMR台本を主に書いています
シチュボというかボイスドラマというか、リアリティラインは微妙な塩梅ですが、楽しんでいただけると嬉しいです
シチュボというかボイスドラマというか、リアリティラインは微妙な塩梅ですが、楽しんでいただけると嬉しいです
有償販売利用の条件
当サイトの利用規約に準ずる
利用実績(最大10件)
うずにわ の投稿台本(最大10件)