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不思議な雰囲気の女性と、夜桜で一杯
written by チョンマー
  • 添い寝
  • 寝落ち
  • ファンタジー
  • 夜桜
  • 花見
公開日2026年04月05日 20:55 更新日2026年04月05日 20:55
文字数
1670文字(約 5分34秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
1 人
演者役柄
視聴者役柄
社会人
場所
公園(桜の下)
あらすじ
春、桜も満開になったある日のこと。
不思議な雰囲気を漂わせている女性が、ひとり桜の下で酒をあおっていた。

女性一人で危険じゃないだろうか……。
そんな心配を持った僕は、彼女に話しかけようと傍に近寄った……。
本編
んっ、んっ。ぷはー……。

どうしたのじゃ? うちみたいな飲んだくれに話しかけるなんて。


何してるのかって、そりゃ、花見酒じゃ。
こんな綺麗な夜桜を前にして、飲まずにはいられなくてな。


見ての通り一人じゃが……それがどうかしたのかの?


ああ、なるほど。
女がこんなところに一人、酒を飲んでて危なくないかと。

ふふっ、おぬし、中々のお人よしじゃな。
じゃが、安心せい。そんじょそこらの男など、うちにとっては相手にもならん。


信じられないという顔じゃな。
それなら、これをご覧。


ほれ、空き瓶を片手でぐしゃり、と。
ふふっ、その驚き様。まさか、こんなか弱い女がと、油断しよったな。

というわけで、心配は無用じゃ。
心遣いはありがたく受け取るぞ。


それでも心配って顔じゃな。
それなら……おぬしも一緒にどうじゃ?
女一人なのが心配なのじゃろう? それなら、男が一人いるだけで少しは違うのではないか?

それに、その袋の中。酒が入っておるの。大方、晩酌用なのじゃろうが、せっかくなら、花見で一杯、どうじゃ?


ふふっ、本音を言うと、少し一人で寂しく思ってたところだったのじゃ。
一緒に付き合ってくれて感謝するぞ。



それでは、この一夜に乾杯。

やはり、花はよい。
ほんの一時しか、咲かないのが乙、というものじゃ。
おぬしもそう思わんか?

花が美しく咲くのは、ほんの数日。一つの花に限って言えば、一日あるかないかじゃろう。
風が花弁をさらっていって、花は緑へと変わる。
刹那のきらめき、一瞬の栄華だからこそ、我々は魅了されるのじゃ。

だからこそ、こんなにも美しく咲き誇っておるこの瞬間を、我々は楽しむのみ。
そして、何かを楽しむのに酒は必要不可欠じゃろ?

どうしたのじゃ、まだ酒は残っておるぞ。もう飲まんのか?


遠慮なぞするな。野暮というもの。
こんな楽しいときに、酒が切れるなぞ、無粋というもの。

うちは大量に用意しておったからの。多少減ったところで構わん。


全部飲むつもりだったのかって? おかしなことを言うやつじゃの。
酒があるなら飲む。残す必要など、何処にもないじゃろ。


まあ、そうじゃな。おぬしよりは酒に強い自信はあるぞ。
こうして、美しいものを見つけたとき、楽しいことがあったときには、一晩中飲み明かすからのう。

今日は本当に、楽しい日じゃ。
散りゆく前の、この美しい花を愛でている最中に、おぬしと出会えたのだから。


なに驚いた顔をしている。
おぬしとの出会いも、楽しまないと損ではないか。
今日だけの縁だとしても、酒を飲みかわす間だけは、同じ時を共有する同腹なのだからな。

さあ、もっと飲め飲め。今日という日はもう来ないのじゃぞ。飲まないと損ではないか。



おや?
ふむ……潰れてしもうたか。少し飲ませすぎたか。

仕方ない……よいしょっと。


ふふっ、まさか、出会って一日もたたない男を、膝に乗せるとはな。
全く、うちに合わせて飲みよって。酒には強いといったのに。
うちが酔いつぶれたときを狙っておったのか?
鬼が人に勝てるわけなかろうが。

いや、きっとこやつのことだ。
うちが酔いつぶれたら介抱しようと、そう思ってたのだろうな。
まったく、見ず知らずの相手に、お人よしにもほどがある。
悪心を抱いた相手に騙されたりせぬか心配じゃ。

久しぶりに人里に降りてきたが、こうして誰かと飲みかわせる機会に出会えるとは。
案外、悪くないものじゃな。
ふふっ、おぬし、幸せ者じゃぞ。
まさか、鬼と一緒に晩酌して、こうして膝枕してもらえるなんて。

無防備な顔をしておるわ。
そんな安心しきった顔を見せている相手は、人なぞ一ひねりできる鬼だというのに。

花を肴に一人酒のつもりじゃったが……おぬしのおかげで、久しぶりに誰かと話すことができた。
つい興に乗ってしもうて、話過ぎたやも知れぬ。
おぬしがあまりにも聞き上手な人間じゃったからの。

朝には鬼の里に帰らねばならぬ。
出会いは一期一会、なんて言葉もある。鬼と人がこうして出会うなぞ、めったにないことじゃ。
でも……おぬしとはまた、会えるやもしれぬな。

もう少ししたら、起こしてやろう。
それまで、ゆっくりと寝るがよい。

さて、まだまだ飲むとしようか。
おぬしとの出会いに、乾杯。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
不思議な雰囲気の女性と、夜桜で一杯
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
チョンマー
ライター情報
pixivでフリー台本を書いています。
甘々な話も、ちょっとエモいお話も、どっちも好きで書いています。
元々小説畑の人間なので、どこか物語染みてるところがあるかも……。
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