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- 浮気
- サラリーマン
- 探偵
公開日2024年09月28日 08:00
更新日2024年09月28日 07:34
文字数
8176文字(約 27分16秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
7 人
演者役柄
詳細はあらすじに
視聴者役柄
なし
場所
なし
あらすじ
モラハラをする妻、久美に悩まされるサラリーマン、直哉。
それを同僚の木村に相談すると、木村は凄腕の探偵、時雨のところに行ったほうがいいと言って来て…?
スカッとする話「アルカナフェアリーテイル」のシリーズ台本です。
台本はボイコネ形式にしております。
追記:直哉、木村、潤平、優弥、時雨は男性で、ノエルと久美は女性でお願いします。
ナレーションは直哉役のお方が担当です。
ボーイは優弥役の方に兼役をお願いいたします。
それを同僚の木村に相談すると、木村は凄腕の探偵、時雨のところに行ったほうがいいと言って来て…?
スカッとする話「アルカナフェアリーテイル」のシリーズ台本です。
台本はボイコネ形式にしております。
追記:直哉、木村、潤平、優弥、時雨は男性で、ノエルと久美は女性でお願いします。
ナレーションは直哉役のお方が担当です。
ボーイは優弥役の方に兼役をお願いいたします。
本編
直哉:「ただいまー…」
久美:「…」
直哉:(はぁ、また無視か…)
直哉:「…給料明細来たから、テーブルに置いとくよ」
久美:「…今月これだけ?この1ヶ月職場で何してたのよ。もっと稼いでもらわないと困るんだけど」
直哉:(…まーた給料の文句言ってるよ。少ないと思うなら自分で稼いで欲しいんだけど)
0:俺の名は直哉(なおや)。
0:妻の久美(くみ)と5年前に結婚した31歳。
0:今のやりとりを見てお分かりの通り、俺と妻はうまくいっていない。
久美:「何これ?単に安かったから選んだんでしょ。家族のお土産にこんな安物買ってくるとかありえない。お土産を選ぶセンスないわね」
直哉:「なっ…安物だなんて言い方ないだろ!」
久美:「本当のこと言っただけじゃない。気の利かない分際で口答えとか信じられないw」
0:俺のやることに必ず文句を言うのはもちろん、給料にもケチつける。最初はその態度に怒ったりしたけど、すぐに言い返されるだけなので、もう反論するのをやめた。
0:そしてお小遣いは3000円だけで、最近は話しかけても無視が普通。
0:いわゆるモラハラ妻だ。
0:久美のこの行動は、実は結婚当初から続いている。
0:久美と一緒にいるのが辛くなって最近は久美と一緒にいる時間を減らすために残業してるけど、久美が帰りが遅くなっても怒らないのが唯一の救いだよ。
直哉:(…家族のために頑張って来たつもりだけど、何か気に触ることしたかなぁ…)
0:それにしても何で俺はこんな人と結婚しようと思ったんだろ。
0:そんな苦痛としか言いようがない日々の中で、久美はまた新たに一つおかしな行動を始めた。
0:ある日のこと。
直哉:「ただいまー…」
久美:「…」
0:今日も仕事で夜遅くに帰っても無視する久美。
直哉:(相変わらず無視か。…まぁ慣れて来たからいいけど。…にしても今日の格好、いつもより派手な気がするんだが…?)
0:俺がぼんやりいつもと違う久美を眺めていると、久美は立ち上がり、そのまま玄関に向かって歩き出した。
直哉:「ちょっ…こんな時間からどこに行くんだよ⁉︎」
0:久美は何も言わずにおしゃれなポシェットだけを持って外にを出た。
直哉:(…何も言わずに夜遅くに外出…しかも普段着ない服で…家出か?いや、家出ならあんなおしゃれな服を着る必要ないし、朝になったら帰って来てるなんておかしいし…)
木村:「どうしたんだ?暗い顔をしてるけど」
直哉:「あぁ、木村か。俺、そんなに暗い顔してた?」
木村:「ああ、いかにも思い詰めた顔って感じで。俺でよかったら聞くけど…」
こいつは同僚の木村で、同じ年に入社して、よく話をする仲の奴だ。
直哉:「悪いな、木村…実は…」
0:俺は木村に、最近久美が俺への態度が酷いこと、夜遅くに派手な格好で外出するようになったことを話した。
木村:「夜遅くに、しかもおしゃれな服で外出⁉︎お前、それ、一番気をつけたほうがいい奴だよ」
直哉:「え?どういうこと?ま、まさか…」
木村:「…うん。多分お前の奥さん、やってると思うんだ。家族に冷たいこともどうかと思うけど、何より普段家族の前でしないおしゃれな格好をするようになったっていうのが怪しい。俺の大学の先輩がそのパターンでやられたから、そんな気がするんだ」
直哉:「そ、そうなんだ…」
直哉:(久美はそんなことしないと思いたいけど…でも久美の行動は普通じゃないよな…)
木村:「…ごめん。朝からこんな話をして。でもお前の奥さんのやっている行動は普通じゃないと思うんだ。あ、そうだ。一回ここに相談してみたらどうかな」
直哉:「相談…?」
0:俺は仕事帰り、木村に勧められて紫の薔薇が咲く黒いお屋敷にやって来ていた。
直哉:「…というわけなんです」
時雨:「…なるほど。…つまり、妻の尾行をして欲しい、というわけだな?」
直哉:「…はい」
0:俺の目の前にいるのは巷で噂の探偵の時雨さん。
0:その若さでこれまで受けた依頼の原因を百発百中で突き止めることから「黒鷲」の異名を持っているらしい。
0:そして横にいるゴスロリの女性はノエルちゃん。幼い見た目をしてるけど、鉱物鑑定士(こうぶつかんていし)だそうだ。
時雨:(家族に冷たいかつ、普段着ない服で出かける…。お決まりのパターンだな)
時雨:「わかった。その依頼を受けよう。ただし、これだけは言わせて欲しい。今回の件、ただの思い込みである可能性は限りなく低い」
直哉:「そう…ですか…」
0:翌日。
直哉:「ただいまー…」
0:俺がリビングのドアを開けると、久美は無言でポシェットを持って俺とすれ違うように玄関を出た。
直哉:『…時雨さん、今久美が玄関を出ました』
時雨:「…わかった。尾行を開始する」
直哉:「わかりました。お願いします」
0:俺はすぐに家の前で待ち伏せしていた時雨さん達に電話をした。
0:時雨さん達はそのまま久美を尾行し始めた。
0:飲食店の並ぶ道に来たところで、久美はとある店に入った。
ノエル:「ヴィランズ…この辺りでは有名なホストクラブですわね」
時雨:「なるほど。この店に行っているようだな」
0:そう言うと、時雨さん達は店に入らずスマホを取り出した。
0:実は今日、久美が外出の際にいつも着けていっている腕時計を音声も入る小型カメラ付きのものにすり替えているんだ。
0:もちろん、久美を見張る目的でね。
0:時雨さん達は久美が店 から出てくるまでそのままそこで久美を見張っていた。
0:それから数日後。
0:時雨さん達から呼び出されて仕事帰りにお屋敷に来ていた。
ノエル:「本日ここに呼んだのは調査の結果の報告するためですわ。早速本題に入らせていただきますが、奥様が外出するときの行き先はホスト『ヴィランズ』でしたの。そしてそこでの奥様の行動ですが、残念ながら黒ですわ」
直哉:「…てことはやっぱり…」
0:なんとなく嫌な予感はしてたけど、実際に言われるとショックだ。
時雨:「あぁ、久美はやっていたよ。これが証拠だが、嫌悪感の感じる会話が収められている。それでも聞くか?」
直哉:「…聞きます」
0:本当は怖いけど、久美がやったと言う事実をちゃんと受け止めるために久美のそのときの姿を目に焼き付けておかなくては。
時雨:「それじゃあ、再生するぞ」
0:時雨さんは録画の再生ボタンを押した。
0:そこから聞こえたのは、思い出すだけで吐き気がしてくるようなものだった。
直哉:「…ありがとうございました。もういいです」
0:俺はそう言うと、時雨さんは何も言わずに録画の再生を止めた。
0:俺は何も言わずその場を後にした。
0:翌朝。
0:俺は久美のことがショックで仕事が手につかなかった。
直哉:「くそっ…今までやってきたのは何だったんだよ…!しかも今朝はテーブルに離婚届をポンと置くなんてふざけた真似をしやがって…」
木村:「…今日は荒れてるな。何かあったのか?」
直哉:「木村…実は…」
0:俺は木村に久美がホストクラブに通って不倫してたこと、そのそして不倫相手はそのホストクラブのキャストだったことを話した。
木村:「マジか…やっぱり奥さん、やってたんだな」
直哉:「…あぁ。何のために結婚したんだと思ったよ」
木村:「そうか…、お前の奥さん、最低だな。家族を裏切った挙句に人前で直哉のやることを話題にして悪口言いふらしてたなんて。もちろん、一緒になって笑ってたその優弥ってやつもな」
0:木村は俺の話を聞いて怒りをあらわにしていた。
木村:「…それにしても奥さんの通っていたホストクラブがヴィランズか…」
直哉:「え?ヴィランズがどうしたんだ?」
木村:「…実は、俺の中学の友人でそこで働いているやつがいてさ…」
直哉:「え?知り合いいるのか!?」
木村:「あぁ。お前、奥さんの件でだいぶメンタルやられてるだろ?今夜はヴィランズで飲んで、嫌な気持ちを切り替えていこうぜ」
直哉:「えっ…ヴィランズだと嫁に会う可能性が…」
木村:「もちろん、奥さんのいない時間に行くよ。奥さんは大体何時ぐらいにそこに行く?」
直哉:「最近夜8時半近くに帰ってるから…9時くらいかな?」
木村:「わかった。じゃあ今日は定時に仕事を上がろうか」
0:こうして俺は定時に仕事を切り上げ、木村とともにヴィランズに向かった。
直哉:『これがヴィランズか…』
0:ヴィランズに入ると、一人のボーイが出迎えてくれた。
ボーイ:「いらっしゃいませ。ご指名はいかがいたしましょう?」
木村:「潤平さんでお願いできますか?」
ボーイ:「かしこまりました。お席にご案内いたしますね」
0:俺たちはボーイに案内された席で潤平さんを待つことにした。
0:1分後ぐらいに、潤平さんらしきホストがやってきた。
潤平:「ご指名いただきありがとうございます。潤平です。今日は、お客様が…って木村?」
木村:「あぁ、久しぶり。潤平」
潤平:「やっぱり木村なのか!久しぶり!知り合いが飲みに来るなんて思わなかったな。それで、そっちの人は?」
木村:「あぁ、会社の同僚だよ」
直哉:「直哉です。こんばんは」
木村:「実は、今日、直哉を元気づけることがメインでここに来たんだ」
潤平:「そうなのか…直哉さんに何かあったのか?」
直哉:「はい。この店で大変言いにくい話ですが…」
0:俺は潤平さんにおずおずと久美とここのキャストの優弥が浮気関係にあること、そして、今朝、離婚届がテーブルに置かれてたことを証拠写真とともに話した。
潤平:「うちの優弥さんと奥さんが浮気だって!?しかも奥さんはこの店で直哉さんの悪口を大声で言って、それを優弥さんが一緒に笑ってた!?」
0:潤平さんは愕然とした。
0:そりゃそうだよな。だっていつも一緒に働く同僚がそんなことしてたなんて信じられないよな。
0:そう思ったのだけど。
潤平:「…うちの従業員が申し訳ないことをいたしました」
直哉:「いえ、悪いのはうちの妻と優弥という人であって、潤平さんが謝る必要は…」
潤平:「いえ。従業員の失態は店の失態と同然ですので。この責任は必ずアイツにとらせないと。あ、そうだ。直哉さん、先ほど、今朝起きたらテーブルに離婚届が置かれていたっておっしゃいましたよね?」
直哉:「そ、そうですけど、それが何か…」
潤平:「実は直哉さんに協力して欲しいことがあって…」
直哉:「協力?」
0:それから金曜日の夜。
直哉:「どう?この格好」
木村:「いつもと全然違うな。一瞬別人かと思ったよ」
直哉:「よし」
0:俺は普段着ない服に着替えて木村とともにヴィランズを訪れた。
0:今回は、事情があって久美がいる時間にやって来た。
0:そして、前回同様、潤平さんを指名した。
潤平:「木村!それと直哉さんも来たっすね。早速作戦に入りましょうか」
0:そのままボーイさんに案内された席に座る。
0:近くの席に久美と優弥がいる。
0:つまり、不倫現場を直接見ることになる。
0:しかし、今回はこれを狙っていたのだ。
0:俺たちはそのまま何も話さずにウーロンハイを飲んだ。
0:すると久美達がこちらに気づくことなく、そのままいつものように俺の悪口を大声で話しだした。
優弥:「最近は旦那さんどうっすか?」
久美:「相変わらずATMとしても使えない有様よ。だから勢いで離婚届をテーブルに置いてやったわ。それを見てアイツがどうしたかは知らないけど」
優弥:「離婚届を置いたの!?めっちゃ派手なことするじゃん!w」
久美:「だってもうホントに顔を見るだけで嫌な気持ちになるんだもん!あれだけダメダメだったら離婚したいと思われて当然だと思っての!」
優弥:「アハハw悪い女wwでもこればかりは旦那さんの自業自得だよな。奥さんに満足できる生活をさせられてないからねーwそんな奴が離婚届突きつけられて狼狽える姿を想像するだけで俺も笑えて来た。ザマァって感じでw」
潤平:「直哉さん、今です」
直哉:「分かりました」
0:俺のことを好き勝手言って盛り上がっている状態の二人に俺は静かに近づく。
久美:「ホントそれ。今度の月曜日、本気で離婚届、役所に…」
直哉:「あの、お二方の会話、こちらに聞こえてるんですが」
0:俺は二人の背後に立ち、そして静かにそう言った。
優弥:「あ?何お前?こっちいいとこだから水差すのやめてくれねーか?迷惑なんだけど」
久美:「そうよ、大体、こっちの会話がそっちに聞こえた。だから何?そっちに聞こえて何か不都合があるっていうの?」
0:二人の時間を邪魔されて二人が不機嫌そうに振り向くと、
直哉:「あと、付け加えて言うなら、離婚届はもう役所に出して来たよ。こっちもお前みたいな平気で人を裏切る女と家族でいるのはまっぴらごめんだから」
0:俺は変装を解き、二人の前に正体を表した。
久美:「え、ええっ!?な、直哉!?」
優弥:「え?何?もしかして旦那さん!?ま、まさか、今の会話、全部聞かれてた!?」
0:俺がいると思ってなかった二人は目の前に俺が現れたことに狼狽えていた。
久美:「な、何であんたがここにいるのよ!」
直哉:「そりゃあ、君がここにいるっていうから…」
久美:「それをどうやって知ったのよ!」
時雨:「それは俺から説明しよう」
0:すると、待っていたかのようなタイミングで探偵の時雨さんが店に入って来た。
久美:「はぁ!?あんたは…黒鷲!?」
優弥:「黒鷲って、あの凄腕の探偵の…!?黒鷲が俺たちに何の用…!?」
時雨:「浮気には探偵がつきものだろう。直哉が俺に依頼してきたんだよ。久美、お前の行動を調べてほしいってな」
久美:「なっ…!直哉、あんたって人はプライベートに踏み込もうなんて何考えてっ…」
時雨:「人を裏切る奴のプライベートなんか知るかよ。耳障りだから喚くな」
久美:「う…」
0:時雨さんはこの後に及んでプライベートとか言っている久美を一瞬で黙らせた。
時雨:「直哉が違和感を覚えた点は2つ。
一つ目は金に対して執着していること。
直哉の給与明細を見させてもらったが、26万だったが、二人で生活する上では余裕のある方だ。だがそれでもお前は足りないと言った。
そしてお前と直哉の通帳を見させてもらったが、直哉の給料、お小遣い分以外全部お前のとこに入ってた」
久美:「じ、自分の給料を奥さんに渡す家庭なんてどれだけでもあるでしょ!」
時雨:「確かにそんな家庭もあるが、問題はそこじゃない。最近の記帳を見たが、お前のとこに入ってた直哉の一ヶ月の給料が1ヶ月で全部なくなっていた。先程も言ったが、手取り26万は二人暮らしでも余裕のある方で、貯金も可能なはず。多額の借金も抱えてるわけではない。なのにそのお金が一ヶ月で全て消えている。
となると、お前が変な贅沢をしていることが考えられる。それでここ数日お前を尾行したが、必ずこの時間帯にこのホストに行っていた。
これらを踏まえて考えると、このホストに金を注ぎ込んでいたんじゃないかということになる。そうだろ?」
久美:「ぐっ…でもそれだけだと不倫が関係…」
時雨:「さっきここ数日お前を尾行してたと言ったが、久美がここに入った途端に帰ったと思ったか?ここでの様子もちゃんと見させてもらったよ。そしてこの会話もちゃんと録らせていただいた」
0:時雨さんは先日俺が見た録画の再生ボタンを押した。
久美:『ねぇ、見てよ。これ、今日仕事服に着て行ってたんだけど、紺のスーツに赤ネクタイとかもう30いってるのにありえないんですけどw服のセンス無さすぎじゃな〜い?』
優弥:『うわ、学生の制服やんw30越えのおっさんがそれは痛いわw』
久美:『でしょー?はっきり言ってあんなのと結婚したこと後悔でしかない!ダサ男だし、大した稼ぎもできないし。何にもいいとこがない!さっさと離婚してやりたいくらいよ!ねぇえ?優弥?ここまで頑張った私を褒めて〜?』
優弥:『はいはい、よく頑張りました。そうだ。そいつとの大変な日々の息抜きに今度の土曜にドライブ行かない?』
久美:『行く行く!あーあ、優弥君が夫だったらよかったのになー』
優弥:『言うねーw、なぁ、久美は旦那さんと俺、どっちが好き?』
久美:『そんなの優弥くんに決まってるじゃなーい♡』
優弥:『え?ほんと?やった、旦那さんに買ったぜ俺♪』
0:録画を見て2人は青ざめた。
時雨:「どうだ?この会話に心当たりは…」
久美:「さっきから聞いていりゃ私だけが悪い
みたいになってるけど、そもそも元を辿れば直哉が悪いのよ!私が優弥くんに心移りしたのも直哉に魅力がないから!そう、これは全部直哉のせいよ!身から出た錆よ!」
木村・直哉・潤平:「は!?」
0:時雨さんが証拠を突きつけると久美が急に俺のせいだと喚き出した。
時雨:「出たよ。証拠突きつけられると開き直る展開」
ノエル:「人を裏切った人間が開き直るものほど見苦しいものはありませんわね」
優弥:「ていうか、さっきから久美のことばかり話してるけど、それなら俺何も関係ねぇじゃんか!なのに何で俺まで悪いみたいに…」
直哉・木村・潤平・時雨:「いやおまえが久美を誘惑するところバッチリ映ってたんだけど?」
潤平:「優弥さん、この際言わせてもらいますが、今回時雨さん達をここに呼んだのは俺なんですよ」
優弥:「じゅ、潤平!?テメェ、なんのつもりで…」
潤平:「そんなの決まってるじゃないですか。優弥さんにお灸を据えるためですよ。今回のお客様との不倫ももちろんですが、1番の理由は優弥さんの接客態度の悪さっすよ」
優弥:「接客態度?」
潤平:「ええ。優弥さん、自分が気に入らない客が来たら指名されても無視して他のキャストに押し付けたり、お客様の注文を無視してシャンパンを無理やり勧めたり…これに関しては他のキャストにも言えることですが、はっきり言ってそれのせいで店の評判は最悪っす」
直哉:「うわぁ、接客業として終わってるな…」
木村:「想像以上に酷いな」
潤平:「なので、今月限りで俺はこの店を去らせてもらいます」
優弥:「なっ、テメェっ…はっ、お前、自分指名率低いからってナンバーワンの俺に僻んでるんだろ?それで俺を貶めようと…」
潤平:「僻んでないっす。ただ本当のこと言っただけです。その証拠にこれ、うちの口コミですが、俺以外のキャストを名指しで非難してるコメントがこんなに沢山来てるんですよ」
直哉:「本当だ。潤平さんに同情してる人もいるな」
ノエル:「あら、ほんとですわね。潤平様がいなくなったらお店にもう行かないと仰ってる方もいますわよ」
木村:「てことは、潤平が今ここで辞めたらこの店に誰も来なくなるんじゃないか?」
優弥:「う、嘘だろ…?」
時雨:「…というわけだ。ついでに言うが、今の会話も全て録らせてもらった。これだけ証拠があれば言い逃れはできない。さぁ、これでチェックメイトだ」
優弥・久美:「あ、あああ…」
0:こうして俺は久美と離婚し、裁判した結果、久美と優弥、二人はそれぞれ慰謝料200万を払うことを命じられた。
0:久美はその後、義両親を激怒させたことで縁を切られ、まともな仕事にも就けず、今は怪しそうな風俗店で働いているらしい。
0:さらに長期にわたる支離滅裂な経営による店への信頼の喪失と潤平が辞めたことにより客が来なくなってヴィランズは閉店した。
0:それにより優弥は職を失ったが、今はどこで何をしているかは不明である。
0:一方の俺は悩みの種がなくなり、仕事もプライベートも充実した生活を送っている。
直哉:「この度は本当にありがとうございました。おかげで気が楽になりました」
時雨:「礼をされるほどのことじゃない。当然のことをしたまでだ」
ノエル:「それにしても、直哉様は奥様と離れてからいきいきとしてますわね。最初に会った時は少しやつれてたように見えましたが」
木村:「そうですね。あの奥さんに相当苦痛を感じてたんだと思います。でも離れて元気になったので、同僚の俺としては安心してますよ。あ、そうだ。こないだお世話になった潤平だけど、今こないだ開店したスナック「エルフの葡萄」で料理人の弟と一緒に経営してるみたいですよ」
時雨:「エルフの葡萄…?おととい入店待ちの奴らが集まってたあの店か?」
直哉:「こないだ開いたばかりなのにもう入店待ちが!?」
木村:「そうなんですよ。あの店、今ダイヤ型のアボガドが混じってることがあるラッキーナポリタンを出してることでリンスタグラムで話題になってるみたいで、予約もかなり来てるみたいです」
直哉:「すごいな、めちゃくちゃ人気じゃないか」
ノエル:「あらあら、潤平様も忙しい日々を送っていらっしゃるのね。…それはさておき、今回のもてなしはピットウィックのレモンティーとススピロですの。ススピロはポルトガル語でため息を意味するメレンゲ菓子です。そしてレモンティーはレモンの爽やかな香りが気分スッキリしたい時におすすめの代物ですわ。どちらも直哉様の状況にピッタリと思い、選ばせていただきました」
直哉:「そうですか。俺のためにここまでありがとうございます」
直哉:(美味しい…)
0:今まで自分を思っていない人のために時間を費やしていたけど、今回の件でこれからは自分をもっと大切にしようと思った。
久美:「…」
直哉:(はぁ、また無視か…)
直哉:「…給料明細来たから、テーブルに置いとくよ」
久美:「…今月これだけ?この1ヶ月職場で何してたのよ。もっと稼いでもらわないと困るんだけど」
直哉:(…まーた給料の文句言ってるよ。少ないと思うなら自分で稼いで欲しいんだけど)
0:俺の名は直哉(なおや)。
0:妻の久美(くみ)と5年前に結婚した31歳。
0:今のやりとりを見てお分かりの通り、俺と妻はうまくいっていない。
久美:「何これ?単に安かったから選んだんでしょ。家族のお土産にこんな安物買ってくるとかありえない。お土産を選ぶセンスないわね」
直哉:「なっ…安物だなんて言い方ないだろ!」
久美:「本当のこと言っただけじゃない。気の利かない分際で口答えとか信じられないw」
0:俺のやることに必ず文句を言うのはもちろん、給料にもケチつける。最初はその態度に怒ったりしたけど、すぐに言い返されるだけなので、もう反論するのをやめた。
0:そしてお小遣いは3000円だけで、最近は話しかけても無視が普通。
0:いわゆるモラハラ妻だ。
0:久美のこの行動は、実は結婚当初から続いている。
0:久美と一緒にいるのが辛くなって最近は久美と一緒にいる時間を減らすために残業してるけど、久美が帰りが遅くなっても怒らないのが唯一の救いだよ。
直哉:(…家族のために頑張って来たつもりだけど、何か気に触ることしたかなぁ…)
0:それにしても何で俺はこんな人と結婚しようと思ったんだろ。
0:そんな苦痛としか言いようがない日々の中で、久美はまた新たに一つおかしな行動を始めた。
0:ある日のこと。
直哉:「ただいまー…」
久美:「…」
0:今日も仕事で夜遅くに帰っても無視する久美。
直哉:(相変わらず無視か。…まぁ慣れて来たからいいけど。…にしても今日の格好、いつもより派手な気がするんだが…?)
0:俺がぼんやりいつもと違う久美を眺めていると、久美は立ち上がり、そのまま玄関に向かって歩き出した。
直哉:「ちょっ…こんな時間からどこに行くんだよ⁉︎」
0:久美は何も言わずにおしゃれなポシェットだけを持って外にを出た。
直哉:(…何も言わずに夜遅くに外出…しかも普段着ない服で…家出か?いや、家出ならあんなおしゃれな服を着る必要ないし、朝になったら帰って来てるなんておかしいし…)
木村:「どうしたんだ?暗い顔をしてるけど」
直哉:「あぁ、木村か。俺、そんなに暗い顔してた?」
木村:「ああ、いかにも思い詰めた顔って感じで。俺でよかったら聞くけど…」
こいつは同僚の木村で、同じ年に入社して、よく話をする仲の奴だ。
直哉:「悪いな、木村…実は…」
0:俺は木村に、最近久美が俺への態度が酷いこと、夜遅くに派手な格好で外出するようになったことを話した。
木村:「夜遅くに、しかもおしゃれな服で外出⁉︎お前、それ、一番気をつけたほうがいい奴だよ」
直哉:「え?どういうこと?ま、まさか…」
木村:「…うん。多分お前の奥さん、やってると思うんだ。家族に冷たいこともどうかと思うけど、何より普段家族の前でしないおしゃれな格好をするようになったっていうのが怪しい。俺の大学の先輩がそのパターンでやられたから、そんな気がするんだ」
直哉:「そ、そうなんだ…」
直哉:(久美はそんなことしないと思いたいけど…でも久美の行動は普通じゃないよな…)
木村:「…ごめん。朝からこんな話をして。でもお前の奥さんのやっている行動は普通じゃないと思うんだ。あ、そうだ。一回ここに相談してみたらどうかな」
直哉:「相談…?」
0:俺は仕事帰り、木村に勧められて紫の薔薇が咲く黒いお屋敷にやって来ていた。
直哉:「…というわけなんです」
時雨:「…なるほど。…つまり、妻の尾行をして欲しい、というわけだな?」
直哉:「…はい」
0:俺の目の前にいるのは巷で噂の探偵の時雨さん。
0:その若さでこれまで受けた依頼の原因を百発百中で突き止めることから「黒鷲」の異名を持っているらしい。
0:そして横にいるゴスロリの女性はノエルちゃん。幼い見た目をしてるけど、鉱物鑑定士(こうぶつかんていし)だそうだ。
時雨:(家族に冷たいかつ、普段着ない服で出かける…。お決まりのパターンだな)
時雨:「わかった。その依頼を受けよう。ただし、これだけは言わせて欲しい。今回の件、ただの思い込みである可能性は限りなく低い」
直哉:「そう…ですか…」
0:翌日。
直哉:「ただいまー…」
0:俺がリビングのドアを開けると、久美は無言でポシェットを持って俺とすれ違うように玄関を出た。
直哉:『…時雨さん、今久美が玄関を出ました』
時雨:「…わかった。尾行を開始する」
直哉:「わかりました。お願いします」
0:俺はすぐに家の前で待ち伏せしていた時雨さん達に電話をした。
0:時雨さん達はそのまま久美を尾行し始めた。
0:飲食店の並ぶ道に来たところで、久美はとある店に入った。
ノエル:「ヴィランズ…この辺りでは有名なホストクラブですわね」
時雨:「なるほど。この店に行っているようだな」
0:そう言うと、時雨さん達は店に入らずスマホを取り出した。
0:実は今日、久美が外出の際にいつも着けていっている腕時計を音声も入る小型カメラ付きのものにすり替えているんだ。
0:もちろん、久美を見張る目的でね。
0:時雨さん達は久美が店 から出てくるまでそのままそこで久美を見張っていた。
0:それから数日後。
0:時雨さん達から呼び出されて仕事帰りにお屋敷に来ていた。
ノエル:「本日ここに呼んだのは調査の結果の報告するためですわ。早速本題に入らせていただきますが、奥様が外出するときの行き先はホスト『ヴィランズ』でしたの。そしてそこでの奥様の行動ですが、残念ながら黒ですわ」
直哉:「…てことはやっぱり…」
0:なんとなく嫌な予感はしてたけど、実際に言われるとショックだ。
時雨:「あぁ、久美はやっていたよ。これが証拠だが、嫌悪感の感じる会話が収められている。それでも聞くか?」
直哉:「…聞きます」
0:本当は怖いけど、久美がやったと言う事実をちゃんと受け止めるために久美のそのときの姿を目に焼き付けておかなくては。
時雨:「それじゃあ、再生するぞ」
0:時雨さんは録画の再生ボタンを押した。
0:そこから聞こえたのは、思い出すだけで吐き気がしてくるようなものだった。
直哉:「…ありがとうございました。もういいです」
0:俺はそう言うと、時雨さんは何も言わずに録画の再生を止めた。
0:俺は何も言わずその場を後にした。
0:翌朝。
0:俺は久美のことがショックで仕事が手につかなかった。
直哉:「くそっ…今までやってきたのは何だったんだよ…!しかも今朝はテーブルに離婚届をポンと置くなんてふざけた真似をしやがって…」
木村:「…今日は荒れてるな。何かあったのか?」
直哉:「木村…実は…」
0:俺は木村に久美がホストクラブに通って不倫してたこと、そのそして不倫相手はそのホストクラブのキャストだったことを話した。
木村:「マジか…やっぱり奥さん、やってたんだな」
直哉:「…あぁ。何のために結婚したんだと思ったよ」
木村:「そうか…、お前の奥さん、最低だな。家族を裏切った挙句に人前で直哉のやることを話題にして悪口言いふらしてたなんて。もちろん、一緒になって笑ってたその優弥ってやつもな」
0:木村は俺の話を聞いて怒りをあらわにしていた。
木村:「…それにしても奥さんの通っていたホストクラブがヴィランズか…」
直哉:「え?ヴィランズがどうしたんだ?」
木村:「…実は、俺の中学の友人でそこで働いているやつがいてさ…」
直哉:「え?知り合いいるのか!?」
木村:「あぁ。お前、奥さんの件でだいぶメンタルやられてるだろ?今夜はヴィランズで飲んで、嫌な気持ちを切り替えていこうぜ」
直哉:「えっ…ヴィランズだと嫁に会う可能性が…」
木村:「もちろん、奥さんのいない時間に行くよ。奥さんは大体何時ぐらいにそこに行く?」
直哉:「最近夜8時半近くに帰ってるから…9時くらいかな?」
木村:「わかった。じゃあ今日は定時に仕事を上がろうか」
0:こうして俺は定時に仕事を切り上げ、木村とともにヴィランズに向かった。
直哉:『これがヴィランズか…』
0:ヴィランズに入ると、一人のボーイが出迎えてくれた。
ボーイ:「いらっしゃいませ。ご指名はいかがいたしましょう?」
木村:「潤平さんでお願いできますか?」
ボーイ:「かしこまりました。お席にご案内いたしますね」
0:俺たちはボーイに案内された席で潤平さんを待つことにした。
0:1分後ぐらいに、潤平さんらしきホストがやってきた。
潤平:「ご指名いただきありがとうございます。潤平です。今日は、お客様が…って木村?」
木村:「あぁ、久しぶり。潤平」
潤平:「やっぱり木村なのか!久しぶり!知り合いが飲みに来るなんて思わなかったな。それで、そっちの人は?」
木村:「あぁ、会社の同僚だよ」
直哉:「直哉です。こんばんは」
木村:「実は、今日、直哉を元気づけることがメインでここに来たんだ」
潤平:「そうなのか…直哉さんに何かあったのか?」
直哉:「はい。この店で大変言いにくい話ですが…」
0:俺は潤平さんにおずおずと久美とここのキャストの優弥が浮気関係にあること、そして、今朝、離婚届がテーブルに置かれてたことを証拠写真とともに話した。
潤平:「うちの優弥さんと奥さんが浮気だって!?しかも奥さんはこの店で直哉さんの悪口を大声で言って、それを優弥さんが一緒に笑ってた!?」
0:潤平さんは愕然とした。
0:そりゃそうだよな。だっていつも一緒に働く同僚がそんなことしてたなんて信じられないよな。
0:そう思ったのだけど。
潤平:「…うちの従業員が申し訳ないことをいたしました」
直哉:「いえ、悪いのはうちの妻と優弥という人であって、潤平さんが謝る必要は…」
潤平:「いえ。従業員の失態は店の失態と同然ですので。この責任は必ずアイツにとらせないと。あ、そうだ。直哉さん、先ほど、今朝起きたらテーブルに離婚届が置かれていたっておっしゃいましたよね?」
直哉:「そ、そうですけど、それが何か…」
潤平:「実は直哉さんに協力して欲しいことがあって…」
直哉:「協力?」
0:それから金曜日の夜。
直哉:「どう?この格好」
木村:「いつもと全然違うな。一瞬別人かと思ったよ」
直哉:「よし」
0:俺は普段着ない服に着替えて木村とともにヴィランズを訪れた。
0:今回は、事情があって久美がいる時間にやって来た。
0:そして、前回同様、潤平さんを指名した。
潤平:「木村!それと直哉さんも来たっすね。早速作戦に入りましょうか」
0:そのままボーイさんに案内された席に座る。
0:近くの席に久美と優弥がいる。
0:つまり、不倫現場を直接見ることになる。
0:しかし、今回はこれを狙っていたのだ。
0:俺たちはそのまま何も話さずにウーロンハイを飲んだ。
0:すると久美達がこちらに気づくことなく、そのままいつものように俺の悪口を大声で話しだした。
優弥:「最近は旦那さんどうっすか?」
久美:「相変わらずATMとしても使えない有様よ。だから勢いで離婚届をテーブルに置いてやったわ。それを見てアイツがどうしたかは知らないけど」
優弥:「離婚届を置いたの!?めっちゃ派手なことするじゃん!w」
久美:「だってもうホントに顔を見るだけで嫌な気持ちになるんだもん!あれだけダメダメだったら離婚したいと思われて当然だと思っての!」
優弥:「アハハw悪い女wwでもこればかりは旦那さんの自業自得だよな。奥さんに満足できる生活をさせられてないからねーwそんな奴が離婚届突きつけられて狼狽える姿を想像するだけで俺も笑えて来た。ザマァって感じでw」
潤平:「直哉さん、今です」
直哉:「分かりました」
0:俺のことを好き勝手言って盛り上がっている状態の二人に俺は静かに近づく。
久美:「ホントそれ。今度の月曜日、本気で離婚届、役所に…」
直哉:「あの、お二方の会話、こちらに聞こえてるんですが」
0:俺は二人の背後に立ち、そして静かにそう言った。
優弥:「あ?何お前?こっちいいとこだから水差すのやめてくれねーか?迷惑なんだけど」
久美:「そうよ、大体、こっちの会話がそっちに聞こえた。だから何?そっちに聞こえて何か不都合があるっていうの?」
0:二人の時間を邪魔されて二人が不機嫌そうに振り向くと、
直哉:「あと、付け加えて言うなら、離婚届はもう役所に出して来たよ。こっちもお前みたいな平気で人を裏切る女と家族でいるのはまっぴらごめんだから」
0:俺は変装を解き、二人の前に正体を表した。
久美:「え、ええっ!?な、直哉!?」
優弥:「え?何?もしかして旦那さん!?ま、まさか、今の会話、全部聞かれてた!?」
0:俺がいると思ってなかった二人は目の前に俺が現れたことに狼狽えていた。
久美:「な、何であんたがここにいるのよ!」
直哉:「そりゃあ、君がここにいるっていうから…」
久美:「それをどうやって知ったのよ!」
時雨:「それは俺から説明しよう」
0:すると、待っていたかのようなタイミングで探偵の時雨さんが店に入って来た。
久美:「はぁ!?あんたは…黒鷲!?」
優弥:「黒鷲って、あの凄腕の探偵の…!?黒鷲が俺たちに何の用…!?」
時雨:「浮気には探偵がつきものだろう。直哉が俺に依頼してきたんだよ。久美、お前の行動を調べてほしいってな」
久美:「なっ…!直哉、あんたって人はプライベートに踏み込もうなんて何考えてっ…」
時雨:「人を裏切る奴のプライベートなんか知るかよ。耳障りだから喚くな」
久美:「う…」
0:時雨さんはこの後に及んでプライベートとか言っている久美を一瞬で黙らせた。
時雨:「直哉が違和感を覚えた点は2つ。
一つ目は金に対して執着していること。
直哉の給与明細を見させてもらったが、26万だったが、二人で生活する上では余裕のある方だ。だがそれでもお前は足りないと言った。
そしてお前と直哉の通帳を見させてもらったが、直哉の給料、お小遣い分以外全部お前のとこに入ってた」
久美:「じ、自分の給料を奥さんに渡す家庭なんてどれだけでもあるでしょ!」
時雨:「確かにそんな家庭もあるが、問題はそこじゃない。最近の記帳を見たが、お前のとこに入ってた直哉の一ヶ月の給料が1ヶ月で全部なくなっていた。先程も言ったが、手取り26万は二人暮らしでも余裕のある方で、貯金も可能なはず。多額の借金も抱えてるわけではない。なのにそのお金が一ヶ月で全て消えている。
となると、お前が変な贅沢をしていることが考えられる。それでここ数日お前を尾行したが、必ずこの時間帯にこのホストに行っていた。
これらを踏まえて考えると、このホストに金を注ぎ込んでいたんじゃないかということになる。そうだろ?」
久美:「ぐっ…でもそれだけだと不倫が関係…」
時雨:「さっきここ数日お前を尾行してたと言ったが、久美がここに入った途端に帰ったと思ったか?ここでの様子もちゃんと見させてもらったよ。そしてこの会話もちゃんと録らせていただいた」
0:時雨さんは先日俺が見た録画の再生ボタンを押した。
久美:『ねぇ、見てよ。これ、今日仕事服に着て行ってたんだけど、紺のスーツに赤ネクタイとかもう30いってるのにありえないんですけどw服のセンス無さすぎじゃな〜い?』
優弥:『うわ、学生の制服やんw30越えのおっさんがそれは痛いわw』
久美:『でしょー?はっきり言ってあんなのと結婚したこと後悔でしかない!ダサ男だし、大した稼ぎもできないし。何にもいいとこがない!さっさと離婚してやりたいくらいよ!ねぇえ?優弥?ここまで頑張った私を褒めて〜?』
優弥:『はいはい、よく頑張りました。そうだ。そいつとの大変な日々の息抜きに今度の土曜にドライブ行かない?』
久美:『行く行く!あーあ、優弥君が夫だったらよかったのになー』
優弥:『言うねーw、なぁ、久美は旦那さんと俺、どっちが好き?』
久美:『そんなの優弥くんに決まってるじゃなーい♡』
優弥:『え?ほんと?やった、旦那さんに買ったぜ俺♪』
0:録画を見て2人は青ざめた。
時雨:「どうだ?この会話に心当たりは…」
久美:「さっきから聞いていりゃ私だけが悪い
みたいになってるけど、そもそも元を辿れば直哉が悪いのよ!私が優弥くんに心移りしたのも直哉に魅力がないから!そう、これは全部直哉のせいよ!身から出た錆よ!」
木村・直哉・潤平:「は!?」
0:時雨さんが証拠を突きつけると久美が急に俺のせいだと喚き出した。
時雨:「出たよ。証拠突きつけられると開き直る展開」
ノエル:「人を裏切った人間が開き直るものほど見苦しいものはありませんわね」
優弥:「ていうか、さっきから久美のことばかり話してるけど、それなら俺何も関係ねぇじゃんか!なのに何で俺まで悪いみたいに…」
直哉・木村・潤平・時雨:「いやおまえが久美を誘惑するところバッチリ映ってたんだけど?」
潤平:「優弥さん、この際言わせてもらいますが、今回時雨さん達をここに呼んだのは俺なんですよ」
優弥:「じゅ、潤平!?テメェ、なんのつもりで…」
潤平:「そんなの決まってるじゃないですか。優弥さんにお灸を据えるためですよ。今回のお客様との不倫ももちろんですが、1番の理由は優弥さんの接客態度の悪さっすよ」
優弥:「接客態度?」
潤平:「ええ。優弥さん、自分が気に入らない客が来たら指名されても無視して他のキャストに押し付けたり、お客様の注文を無視してシャンパンを無理やり勧めたり…これに関しては他のキャストにも言えることですが、はっきり言ってそれのせいで店の評判は最悪っす」
直哉:「うわぁ、接客業として終わってるな…」
木村:「想像以上に酷いな」
潤平:「なので、今月限りで俺はこの店を去らせてもらいます」
優弥:「なっ、テメェっ…はっ、お前、自分指名率低いからってナンバーワンの俺に僻んでるんだろ?それで俺を貶めようと…」
潤平:「僻んでないっす。ただ本当のこと言っただけです。その証拠にこれ、うちの口コミですが、俺以外のキャストを名指しで非難してるコメントがこんなに沢山来てるんですよ」
直哉:「本当だ。潤平さんに同情してる人もいるな」
ノエル:「あら、ほんとですわね。潤平様がいなくなったらお店にもう行かないと仰ってる方もいますわよ」
木村:「てことは、潤平が今ここで辞めたらこの店に誰も来なくなるんじゃないか?」
優弥:「う、嘘だろ…?」
時雨:「…というわけだ。ついでに言うが、今の会話も全て録らせてもらった。これだけ証拠があれば言い逃れはできない。さぁ、これでチェックメイトだ」
優弥・久美:「あ、あああ…」
0:こうして俺は久美と離婚し、裁判した結果、久美と優弥、二人はそれぞれ慰謝料200万を払うことを命じられた。
0:久美はその後、義両親を激怒させたことで縁を切られ、まともな仕事にも就けず、今は怪しそうな風俗店で働いているらしい。
0:さらに長期にわたる支離滅裂な経営による店への信頼の喪失と潤平が辞めたことにより客が来なくなってヴィランズは閉店した。
0:それにより優弥は職を失ったが、今はどこで何をしているかは不明である。
0:一方の俺は悩みの種がなくなり、仕事もプライベートも充実した生活を送っている。
直哉:「この度は本当にありがとうございました。おかげで気が楽になりました」
時雨:「礼をされるほどのことじゃない。当然のことをしたまでだ」
ノエル:「それにしても、直哉様は奥様と離れてからいきいきとしてますわね。最初に会った時は少しやつれてたように見えましたが」
木村:「そうですね。あの奥さんに相当苦痛を感じてたんだと思います。でも離れて元気になったので、同僚の俺としては安心してますよ。あ、そうだ。こないだお世話になった潤平だけど、今こないだ開店したスナック「エルフの葡萄」で料理人の弟と一緒に経営してるみたいですよ」
時雨:「エルフの葡萄…?おととい入店待ちの奴らが集まってたあの店か?」
直哉:「こないだ開いたばかりなのにもう入店待ちが!?」
木村:「そうなんですよ。あの店、今ダイヤ型のアボガドが混じってることがあるラッキーナポリタンを出してることでリンスタグラムで話題になってるみたいで、予約もかなり来てるみたいです」
直哉:「すごいな、めちゃくちゃ人気じゃないか」
ノエル:「あらあら、潤平様も忙しい日々を送っていらっしゃるのね。…それはさておき、今回のもてなしはピットウィックのレモンティーとススピロですの。ススピロはポルトガル語でため息を意味するメレンゲ菓子です。そしてレモンティーはレモンの爽やかな香りが気分スッキリしたい時におすすめの代物ですわ。どちらも直哉様の状況にピッタリと思い、選ばせていただきました」
直哉:「そうですか。俺のためにここまでありがとうございます」
直哉:(美味しい…)
0:今まで自分を思っていない人のために時間を費やしていたけど、今回の件でこれからは自分をもっと大切にしようと思った。
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